2009年04月04日
奇跡の弾道を目指して(5)~クセは直ったか?
さて今回は、マズルにゴム手袋をかけて正常なホップ回転になるかどうかの実験です。以前ご紹介したとおり、このテッポーの癖は左曲がり、つまり右投手で言うならスライダーの回転がかかります。何もしない状態だとタマは最初から少し左の方に飛び出して、それから左へグイグイと曲がってきます。
それがこの急造フィルターでどれぐらい是正されるものか。今回の実験ではそこを調べてみます。
いざ発射!
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2009年03月28日
奇跡の弾道を目指して(4)~ありあわせの実験

とにかくイビツなバレルを通ってきて変な回転を強いられているタマをバレルの先っちょで引っかけて、きれいなホップ回転に矯正すりゃいいんですよね。口で言えば簡単なことなんですけど。
まずもって机の上でできる想像としては、タマに触れるのが細い一点しかないと(図1)、工作精度の低さもあいまっておそらく左右にブレやすくなる。あるいは2点で当てるか(図2)。しかし2点でもなお左右のベロのバランスが悪いと横回転になる・・・
そこで思いついたのが図3のやり方。思い切って広い面積でぶつけちゃおうというわけです。
ただし、あまり張り出しすぎたり素材が硬すぎたりするとタマの勢いを落とちゃいます。
なので、ちょっと素材に工夫をしてみました。
これです。
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2009年03月21日
奇跡の弾道を目指して(3)~ノーマル弾道確認
さて、たとえばマルシンのLD-2のバレル先端部みたいなちゃんとしたHOP UPの仕組みを作ろうと思ったら、たとえばバレルの先っちょにヤスリで切り込みを開けてそこにOリングを回すかベロを出すかといった加工でそれなりの成果は出る気がします。
しかしそれだとやっぱある程度の工作精度が要るに違いないし、切り込み方をしくじればほぼパー。やっぱハードルが高いというか、よしんばここで実現できたとしても全国500万チープガンオーナー(ンなにいるのかい)が片手間作業でお手元のチープガンに応用できるようなものにはなりません。
できる限り身近にあるものを使って、なるべく簡単な加工で、少しぐらいの精度のブレがあってもそこそこうまくいっちゃうような、そんな方法を目指して・・・
その前にノーマルな状態での弾道を見ておきましょう。さてコイツにはどんなクセがあるんでしょうか。
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2009年03月14日
奇跡の弾道を目指して(2)~単純な仮説
車庫でチープガン塗装の乾燥待ちをしながら、堆く積み上がった箸にも棒にもかからない中華モデルの箱を眺めていたときのこと。
ふと思ったんですよ。そういえば中華チープガンの箱にはよく「HOP UPシステム」なんて書いてあったりするくせに、実際にホップしたものはこれまで1挺もないじゃん。中身を開けてみれば一目瞭然。だってどこにもそんな機構らしいものは組み込まれてないんですから。強いて言えばバレルがやや上向きにくっついてるちょい無理ぽなのがあったぐらいw
よしんばチャンバーでホップ回転をかけてみたところで、むちゃくちゃ精度の悪い樹脂バレルを通って間に回転も無茶苦茶にいじられるだろうし、へたをすればその先にちょっとしたバリやヒケなんかでもあった日にゃ、それこそどんな回転がかかって出てくるかなんて予測がつかないわけですからね。この樹脂バレルという十字架を背負っている限り、精度ともホップとも無縁なんでしょうか・・・
ん?
待てよ。
確かに樹脂バレルはタマにいろいろと悪さをするんだろうけども、そんじゃ
先っちょから飛び出す瞬間に一気に回転をアジャストしちゃったらどうよ?
そういやまもとなエアガンの世界にも、マルシンのLD-2のようにチャンバーとバレルの両方でホップ回転をかける仕組みがあります。いろんな要素もあって命中精度は賛否両論(というより悪評)のようですが、少なくともそういう発想はプロの中にもあったわけですね。
ともあれ樹脂バレルの先っちょまではどんなイビツな回転を強いられてきたところで、最後の最後で強制的にアジャストしちゃえばけっこう回転も安定してまっすぐ飛ぶんじゃないの? そりゃ相応にパワーは落ちるでし、そこまでにかかっていたイビツな回転が強すぎたらけっきょくその回転力を落とし切れないでしょうし。
それ以前の問題として、開発者であるオイラがまともな国産エアガンとなるとメンテのための基本的な分解しかできず、ちゃんとしたテッポーのホップ機構など開けて見たこともないというこの哀しい事実w。このド素人がどうやってそんなことを実現するか。理屈ではわかっても実際のブツがどうなってるのか想像もつきません。
しかし逆に考えてみると、こんなド素人にさえ簡単にできるほど工作精度を必要としないシンプルなものにすれば、弾道のヒドさゆえ棄てられかけているチープガンたちを救うことができるかもしれない・・・つか、そんな簡単なモノならすでにどこかのメーカーがやってるはずですがw
ともあれ思いつくままやってみたもん勝ちな気がしてきました。
何しろここは「チープガン魂。」ですから。
2009年03月07日
奇跡の弾道を目指して(1)~モデル選定
まず実験用のチープガンを選定します。
一口に中国製チープガンといっても玉石混交でして、かつてご紹介したXKシリーズのように樹脂製バレルながら5~7m程度までならかなりまっすぐ飛んでくれるテッポーも最近は出始めています。そういうテッポーはバレルもわりとタイトに収まってますし、そのバレル自体も樹脂製にしては比較的精度がいいらしく、特にあちこちいじらなくても、マルイ並みとまではいかないものの韓国製の安いエアコキと比較したらほぼ同等かそれ以上のパワーやグルーピングを見せてくれたりもします(とはいえ、そんなチャンピオン・チープもやっぱタマに変な回転がかかっていることに変わりはなく、7mを超えると一気にグイグイ曲がり始めるんですけど)。
インスタントラーメンでいうと「中華三昧」みたいなこの手の良質なチープガンは置いときまして、それこそ箸にも棒にもかからない典型的なチープガンこそが今回の実験にはふさわしいと思います。実際、ありあわせのもので試した仮実験で奇跡の弾道を見せてくれたのもそんなザ・チープでありました。

中身はなんちゃってハイキャパとS&Wのハーフ。かつてご紹介した「標準」チープガンとほぼ同じ金型から出てきたものと思われますが、実はこのテッポー、2007年の夏にオイラがいちばん最初に手にしたチープガンとほぼ同じ中身であったりします。
構造はまさに典型的な中華チープガンのそれ。「チャンバー単純固定型」とでも名づけておきましょう。チャンバーとバレルのユニットがトリガーの上あたりで貫き通しの柱数本で固定されているもので、マズルが緩いと発射方向自体が左右どちらかにブレがちです。しかし貫き通しが複数あればまだいい方で、小型のチープガンになるとここを1点で支えていたりもします。
あえてスペックを語ればパワーは0.12Jほど。かつては標準でも0.2Jぐらいあったんですが、最近はいろいろと世間がやかましいせいか、そうとうパワーを落としています。ともあれ手元にある最新のP31だと0.12g弾で初速は45~47m/secといったところ。0.2g弾だと3mでお辞儀してしまうほど貧弱です。精度はグルーピングなどということを云々するに値しないレベル。えぇ、すべてがフライヤーですw
どうです。いじり甲斐があるでしょ。
(でも前途多難だなぁ・・・)
2009年03月01日
奇跡の弾道を目指して(予告編)
まぁ置き場は何とかするとして、これらチープガンとて樹脂のタマを弾き出すために生をうけた立派なテッポーたちであります。口には出さずともマルイのエアコキのごときまっすぐな弾道のタマを弾き出してみたいと、絶望的な暗い箱の中で密やかに夢見ているのではないかと・・・って、いえいえ、オイラが夢見てるんですよ。
そこで思い立ちました。それこそ夢のような話を。このチープガンの弾道をウソみたいにまっすぐにしてみたい、と。しかもチープガンのチープガンたる証しである樹脂バレルをそのまま使って。だってバレルを金属製にしたら真っ直ぐ飛ぶことはもう実験済みだし、バレルを取り替えた時点でわが日本チープガン連盟の規定だと公式競技用チープガンとは認められないですしね(ってオイラが決めた規定ですがw)。
そうとうハードルの高い目標であることは百も承知。でもちょっとした思い付きでやった仮の実験で、たった数回ではあるんですがほんとにできちゃったんです。
あれは奇跡の弾道でした。車庫の奥から家の前の土手に向かって放った0.12g弾が、まるでジャリ銃のように控えめな勢いではあるものの、左右どちらにもブレることなくひたすらまっすぐ、ホップ独特の健気な伸びをかすかに湛えたまま、10mほど先の生垣にすーっと吸い込まれていったのですよ。
今も眼に焼きついて離れません。あれを何とか再現しなければ。もしかしたら、すべてのチープガンをあのクソ弾道から救い出すことができるかも・・・
いま、ちょっとした仮説が脳裏にあります。その仮説がチープガン魂を燃え滾らせております。
長期連載になりそうな気配であります。
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